Mahalo Doughnut Labo マハロドーナツラボ

column

コラム

『焼きドーナツ』は日本発祥??

前回は、『焼きドーナツはドーナツなのか?』という事についてお話させて頂きました。

今回は、『焼きドーナツは日本発祥??』というお話をしたいと思います。

「焼きドーナツがどの様な経緯で誕生したか。」を紐解くと分かってきます。

実は私は、当店(本格手作りデコレーションドーナツ店)のオーナーをする前は、
日本のありとあらゆるドーナツ製造現場で使用されているアメリカ製ドーナツ製造設備の
日本総輸入元、かつ、ドーナツ専門コンサルティング会社の当時日本に2人しかいなかった
専門スタッフを約20年していました。
なので、ドーナツの歴史にちょっと詳しいのです。

1990年の半ば頃、私は製菓製パン業界以外への新たなマーケット開拓を始めました。
ドーナツとは縁も遠いと思われた、「豆腐業界」へ。

きっかけとなったのは、京都・錦市場の有名店の一口豆乳ドーナツの立ち上げに携わったこと、
青森・横浜町のお豆腐屋さんが、ドーナツ製造機で作るおからドーナツが地元で大評判になった
事でした。ちなみに、両店とも20数年経った今でも販売されております。

当時、豆腐業界は後継者問題などもあり、毎年何百という豆腐屋さんが廃業するという問題に
さらされていました。さらに、豆腐製造で産出される「おから」が産業廃棄物となり、捨てるのに
お金がかかるという状況でした。
少しでも、その問題解決の役に立てばというコンセプトで、独自に、おからや豆乳を使ったドーナツの
レシピを開発し、誰でも簡単に作れる製造方法の両方をもって、協力して下さる豆腐業界の代理店様と日本全国の業界向けに啓蒙活動を始めました。業界紙にも取り上げられましたが、まさに、北海道から九州まで講習会に回りました。

それは少しずつ広がり、多くの豆腐屋さんが始められ、お豆腐のヘルシーさを活かしたヘルシードーナツをコンセプトとして販売し、全国へ豆乳ドーナツやおからドーナツなど、豆腐屋さんが作るヘルシードーナツとして人気を博しました。
その事がきっかけで、その後、豆乳プリンなどのヘルシースイーツが次々と世に送りだされる様に
なりました。まさに、お豆腐屋さんのヘルシードーナツは、ヘルシースイーツが広まる先駆けとなりました。
また、ヘルシードーナツは、お豆腐屋さんだけではなく、専門店やチェーン店も全国で出店され広がりを見せました。

プチブームになっていたヘルシードーナツ。その流れを受けて、よりヘルシーさを追求するものとして「焼きドーナツ」が生まれたのです。油で揚げていないからヘルシーですよ!という事で。

当時、焼きドーナツというものは世に存在していませんでした。もちろん、今の様にシリコン型や焼きドーナツ機といったものは有りません。実はその以前より、あるメーカーがリング状の焼菓子を作る業務用機器を販売していました。専用の生地で作るクロワッサン生地のリング状の焼菓子はなかなか美味しかったです。

ブームに乗って、その焼き器を使って、油で揚げて無いからヘルシーという理由付けの焼きドーナツは生まれました。
設備や手間、製造が大変簡単なこともあり、一気に全国に広まり、焼きドーナツがブームとなりました。ちなみに、焼きドーナツのブームと同時に、見た目の可愛らしさと食感を売りにした、揚げてもいない、焼いてもいない、「生ドーナツ」なるものも生まれ、これも大ブームになりました。いわいる、リング状のババロアといったものでしたが。

という事で、「焼きドーナツ」は、日本発祥なのです。
ここ数年前より、日本発祥の焼きドーナツは、海を越えてドーナツの本場アメリカで「Baked Donut」としてよく見る様になって来ました。